相続登記が義務化されることについてはすでにご存じの方も多いかと思います。

この相続登記の義務化は、令和3年4月28日に公布された「民法等の一部を改正する法律」によるもので、施行期日は、原則として公布後2年以内の政令で定める日とされていますが、相続登記の申請の義務化関係の改正については公布後3年、住所等変更登記の申請の義務化関係の改正については公布後5年以内の政令で定める日とされています。

この法改正により、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内」相続登記をしなければならなくなります。また、この規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処するとされています。

今回の不動産登記法の改正により、相続登記だけでなく、登記名義人住所変更等の登記についても義務化されることとなります。

(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)

改正後不動産登記法第76条の5 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

上記のとおり、所有権の登記名義人の氏名もしくは名称または住所について変更があったときは、2年以内にその変更登記を申請しなければならないとされています。

引っ越しをしても、その所有している不動産について住所変更登記をする人は少ないと思われます(実際には、住所変更の登記が必要であることも知らない場合が多いでしょう)。

引っ越しをして市役所等に住所移転の届出をしても、不動産登記情報に記録されている住所が自動的に変更になることはありません。

そのことが分かるのは、銀行や不動産業者から指摘されるとき以外には、自分が所有している不動産の登記事項証明書を取ったときになるでしょう。

つまり、登記事項証明書を取ったときにはじめて、登記されている住所が古いままになっていることに気付くわけです。

住所変更の登記が必要なのは、その不動産を売却したり、担保に入れるような場合に限られますし、そのときになってからおこなえば通常は問題が生じることもありません。

ただし、不動産の所有者が住所変更登記をしないまま亡くなってしまったような場合には、その不動産の所有者(またはその相続人)を把握するのが困難になる可能性があります。

そのため、今回の民法・不動産登記法改正によって、登記名義人住所(氏名)の変更登記が義務化されることとなったのです。

この規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処することとなりますが、住所等の変更登記が義務化されたことをどのように周知させるのか、また、登録免許税や司法書士費用をかけて登記をすることが現実に浸透するのかなどまだよく分かりません。

それでも、相続登記に加えて、登記名義人住所(氏名)変更の登記が義務化されるのは確実であり、過料の制裁についても定められているわけですから、今後は登記をしないでよいとの選択肢は無くなります。

所有不動産の名義変更などについてご不明なことがあれば、松戸の高島司法書士事務所までお問い合わせください。