登記名義人表示(住所、氏名)変更

このページでは、おもに相続登記をする前提として、登記名義人表示(住所、氏名)変更の登記が必要であるかについて解説しています。この登記についての一般的な解説については、登記名義人表示変更(住所、氏名)のページをご覧ください。

1.登記名義人住所変更の登記とは

2.被相続人(所有者)の住所が変わっているとき

3.相続人が共有者であるとき

4.登記事項証明書の記載例

1.登記名義人住所変更の登記とは

登記事項証明書(登記簿謄本)には、所有者の住所と氏名が記載されています。この登記されている住所は、不動産の所有者が引っ越しをして住民票の住所が変わったとしても、自動的に書き換わることはありません。

この場合、所有権登記名義人住所変更の登記することにより、登記されている住所を現住所に変更する必要があるわけです。同様に、登記されている氏名が結婚などによって変更になったときには、所有権登記名義人氏名変更の登記をすることになります。

2.被相続人(所有者)の住所が変わっているとき

登記事項証明書に所有者として記載されている被相続人の住所が、最後の住所と異なる場合であっても、相続登記の前に登記名義人住所変更の登記をする必要はありません

ただし、相続登記の申請をする際には、所有者として登記されている人と、被相続人とが同一人物であることを証明できる書類を提出する必要があります。具体的には、登記されている住所から、最後の住所へ移転するまでの経緯が分かる住民票除票や戸籍の附票などが必要です。

登記されている住所から最後の住所へと引っ越しているのであれば、前住所が記載されている住民票除票があれば足りますが、何度も転居をしている場合には戸籍の附票なども取得することになります。不動産を取得したときから長い年月が経っている場合、住所移転を証明する書類を取得するのが不可能なこともあります。

そのようなときには、登記されている住所についての不在住証明書や、所有権を取得した際の登記済証の添付をすることなどにより、相続登記の申請が受理されるというような取扱いがなされていますが、個々のケースでどのような書類が必要となるかについては、事前に管轄法務局へ確認するか司法書士にご相談ください。

3.相続人が共有者であるとき

相続する不動産が、相続人と被相続人との共有であったとします。この場合に、不動産を取得する相続人について、すでに登記事項証明書に記載されている住所と、現在の住所が異なるときには注意が必要です。

このようなときでも、事前に登記名義人住所変更の登記をしなくても、そのまま相続登記をすることは可能です。しかし、登記名義人住所変更の登記をせずに相続登記のみの申請をした場合、もともと登記されている住所と、相続により新たに登記した住所とが異なることになってしまいます。そのため、結局は登記名義人住所変更の登記を後でしなければならないわけです。

さらに、事前に登記名義人住所変更の登記をしなかったときには、相続によって単独で所有権を取得することとなった場合であっても共有者として登記されてしまいます。この場合でも、後から登記名義人住所変更の登記をすれば問題はないものの、出来るだけ事前に登記名義人住所変更の登記をしておくべきだといえます。

なお、ここまでの解説では、「事前に」登記名義人住所変更の登記をするというように書いていますが、実際に登記をする際には、登記名義人住所変更と相続登記を同時に(連件で)申請するのが通常です。また、共有者であった相続人の氏名が変わっている場合にも同様に、登記名義人氏名変更と相続登記を同時に(連件で)申請します。

4.登記事項証明書の記載例

下記の例では、相続人千葉花子の住所が、昭和45年の売買により所有権を取得したときと、現在とで異なっています。しかし、事前に登記名義人住所変更の登記をせずに相続登記の申請をしたため、共有者として登記されてしまっています。実際には、相続により単独で所有することとなったのにもかかわらず、登記記録上では別人であるとみなされ共有者と記載されてしまっているわけです。

相続登記の前に登記名義人住所変更をしなかった場合

それが、事前に登記名義人住所変更の登記をしておけば、相続登記の申請をした際に所有者して登記されるわけです。

相続登記の前に登記名義人住所変更をした場合